ポーカーGTO教科書 第7章
短いスタックとトーナメント:プッシュ/フォールドとICM
スタックが浅いと答えはシンプル。トーナメントは「チップの価値」が変わる。
10bb前後より浅いと「オールインかフォールド」が中心
スタックが浅いと、レイズしてから降りるのは損が大きすぎます。だから最初に参加するときは、オールイン(プッシュ)かフォールドが基本になります。ただし実際の解では、8〜15bbでもミニレイズ(2bb前後)やリンプが一部の手で使われます。このアプリのプッシュ/フォールドの表は、「最初に参加する人はプッシュかフォールドだけ」と決めた場合の解です。浅いスタックの土台としては十分ですが、8〜15bbでは「ほかの選択肢もある」と覚えておいてください。
デッドマネーがプッシュ幅を決める
ブラインドとアンティの合計2.5bbは、10bbのスタックの25%。全員が降りるだけで大きく増えます。スタックが浅いほどこの比率が上がり、プッシュできる手が広がります。ポジションの考え方(後ろの人数)もそのまま効きます(アプリの図)。
ICM:チップと賞金は比例しない
トーナメントでは、チップを倍にしても賞金は倍になりません。一方で、負けて飛ぶとすべてを失います。負けて失う価値が、勝って増える価値より大きい。だから、コールに必要な勝率が上がります(リスクプレミアム)。
例:サテライト(9人中8人が通過)のバブルで、BTN(9bb)のオールインに、負ければ脱落するBB(7bb)がコールするのに必要な勝率は、チップだけで考えれば37%。通過の確率で考えると72%になります。AJoで勝率64%あっても降りるのが正解になる場面です。
ICMは「いつもタイトに」ではない
ICMでいちばん締まるのはオールインにコールする側です。プッシュする側は、締まる場面も広がる場面もあり、コールほどは締まりません。相手のコールが大きく締まると、チップEVよりプッシュが広がることがあります。このアプリのファイナルテーブルの解(全員同じスタック・オーバーコールなし)では、10〜15bbでは、アーリーの席はチップEVとほぼ同じで、CO・BTN・SBが大きく広がります。5bbでは、SB以外のすべての席が締まります。サテライトでも、チップEVではフォールドなのにICMではプッシュ、という手がたくさん出てきます。
ICMの3つの注意
- 残り2人(ヘッズアップ)になるとICMは消える:残る賞金の差が1つだけなら、チップEVと同じ判断になります。
- ビッグスタックの価値を低めに見積もる:ICMは「チップで相手を圧迫できる」効果を数えません。大きいスタックは、計算より少し攻めてよいことがあります。
- サテライトの「ほぼ全員が広くプッシュ」:オーバーコールなし・プッシュかフォールドだけ、という計算の単純化から強く出ている面があります。実戦では、相手が本当にコールしないかを確かめてから広げます。
全員降りたら、いくら増える? 勝って増える価値と、負けて失う価値は同じ?(トーナメントなら、たいてい同じではない)
確認クイズ
Q1. スタックが浅くなるほど、プッシュできる手が広がる理由は?
- Aカードが良くなるから
- Bデッドマネーの比率が上がるから
- C相手がコールしなくなるから
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正解:B デッドマネーの比率が上がるから
全員が降りたときに増える割合が大きくなるので、降ろせる価値が上がります。
Q2. ICMでコールが狭くなる理由は?
- A負けて失う価値の方が大きいから
- Bチップが多い方が有利だから
- Cブラインドが上がるから
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正解:A 負けて失う価値の方が大きいから
賞金はチップに比例しないため、飛ぶリスクの重さがコールに必要な勝率を押し上げます。
Q3. ICMが重い。プッシュする側はどうなる?
- Aコールと同じだけ締まる
- Bコールほどは締まらない
- CチップEVより必ず広がる
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正解:B コールほどは締まらない
いちばん締まるのはコール。プッシュは締まる場面も広がる場面もあり、相手がコールを避けるぶんチップEVより広がることもあります(このアプリのFTの解では10〜15bbのCO・BTN・SBで広がる)。
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